輝いて見えるところ。

【「夢中になる」のチカラ】

 

大学の学友が、「仕事辞めたいかも」って、いきなりfacebookに書いてたんだ。

 

思わず、コメントした。

 

彼は天才肌でね。数学科で天才肌ってのは、もう、桁外れの思考回路ってこと。
(私は完全に努力型。めちゃくちゃ頑張った……)
自信家で、数学っ子ならみんな憧れるような特技を持っていて。
自信家だから、鼻につくところもあったけど、それを後押しするだけの実績と、センスがあった。
その人も数学を活かす職業に就いたんだけど、もう、入社前から、すっげー奴になるのは予測できるような人でした。

 

最近、仕事をしながら大学院に戻って、博士課程に行ったことを聞いていた。
彼なら納得。
すごいなーって、思ってた。

 

そしたら突然の、
「仕事辞めたい。」

 

私も、生涯をかけてきた仕事を、辞めました。

 

あたしはね。
前向きに仕事辞めたんじゃないんだ。
大学院に行っているので、向上心がないわけではない。

 

だけど。
前向きじゃない。

 

長いこと、暗闇にいます。


彼の投稿にコメントしたら、電話かかってきまして。
本当に久しぶりに声を聞いた。

 

あの自信家の彼が、最初の一声から、今にも泣きそうな声で。

 

そして言ったんだ。
「生きがいって何。」
それが見えなくなった瞬間、真っ暗闇になったんだ、と。
そして、泣き出した。
あの、自信家の彼が。

 

頑張っている人ほど、いろんなことに時間と、体力と、精神力を割いている。

 

自分のやりたいことをやってたはずなのに、いつの間にか義務になっていたり、本当にやりたいことへの下準備で手間取り過ぎて、本当の目標が霞んでしまっていたり。

それでも頑張ってもがくけど、時間も体力も精神力も有限だから、「やりたいこと」に絡めとられて、動けなくなったりする。

 

彼は、ある日、パチンと音がして、風船が割れたって言ってた。
真っ逆さまに落ちて、真っ暗闇。
自分を引き上げていた、目標という風船はもう飛んで行って見えなくなって、暗闇に残された、って。

 

私が仕事を辞めた理由とは、違う理由だったけど、彼もまた、暗闇にいた。

 

「輝いて見えるところがあって、羨ましいよ。」と彼が言う。

 

そうね。私にはここ(劇場)がある。
それがどれだけ救いになったことか。

 

暗闇にいたけれど、輝いて見えるところを目指して歩いた。
そこで、私を受け止めてくれる友達が出来て、仲間がいっぱいできて、新しい目標も見つかった。

 

何かに夢中になること。
私の場合は観劇だったけど、何でもいいんだと思う。

 

ほんとに、周りから見たら馬鹿かって言われるくらい、24時間365日、その1秒1秒をかけられるくらい、夢中になるものがあったら、暗闇から抜け出せるんだと思う。

 

そういう話をしたの。

 

本当に夢中になったことのない人は、「現実逃避だ」とか言うのかもしれない。
夢中になることから湧き出るエネルギーを知らないんだ。

 

今。

 

私は、まだ暗闇の中にはいるけれど、じっとしてない。
手探りでいろいろ探している。
少なくとも、負けないで探すだけの気力はある。

 

解析学の本を探してみるよ、って言って、彼は電話を切りました。
微分方程式論にしたら?って言ったら笑ってた。

 

まだ旅の途中。
だけど、私には輝く光があるから。

 

今回も、お読みいただいてありがとうございました✨✨✨