gazeが持つ意味は何?

【「見る」という言葉を掘り下げてみた】

 

【注意】この記事では、劇団四季ノートルダムの鐘のネタバレを含んでいます。

 

 

 

先日、鐘友さんと話していた時に、「“石像の視線を感じた”のところの英語って何?」と聞かれて、英語の歌詞カードを確認し、「“And he felt their gaze as if it were the eyes of God” だね~」という話になりました。


ここで初めて、私は“gaze”という単語を調べました。今までCDを聴いていてもなんとなく流していたんですが、せっかく鐘友さんと話すならちゃんと調べよう、と思って。

 

私はこの時まで「gaze」という単語を知らなかったんです。日常会話で使うような英語にはそこそこ触れてきているはずだけど、gazeなんて使ったことなかった。


日常では使わない言葉を使っているのには意味があるはず……と思ったのが、今回の考察のキッカケです。

 

まず、gazeと書くことで「視線」という意味合いを強調したんだなぁ、視線を固定してギロッと見てる感じだ、ということが分かりました。

なるほど、石像さんの視線だから、固定されててギロッと見られている感じ、わかるわかる。

 

そこで、ふと思い出します。
ん? Top of the worldの最初にもgaze出てこなかったか?

 

最初のフレーズがそれでした。

エスメラルダが大聖堂から街を見下ろす言葉が「gaze」なのね!!!!

 

私の日本語の認識としては、エスメラルダは街を「見ている」だったので、seeの感覚だったのです。

 

そこで…
まず、「見る」の表現としてよく使われる、see、look、watch、そして「見つめる」という意味のgaze、stareの違いを調べてみました。


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  • see (他動詞)

自然と視界に入ったものを認識している状態。知覚する、認識するという意味を多く含んでいる。

 

  • look (自動詞)

自らそれを見るために視線を動かすこと。目的があって見ている。

 

  • watch (他動詞)

動いているものを、自ら意識を向けて見続けること。

 


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  • gaze (自動詞)

熱心にじっと見ること。(驚き、憧れ、喜び、興味を持って)見つめること。注視すること。

 

  • stare (自動詞)

じろじろと見ること。まじまじと見ること。注視すること。


この中で、視線が動くsee、look、watchは、次のような理解をしておくと、なお良いかと!


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さて、ここまで整理してから、改めて英語版の歌詞を読み返してみました。


単純に、使われている回数を数えると、
see 33回、look 11回、watch 5回、gaze 3回、stare 1回。


会衆や、役のついたその人が、舞台上の状態を認知するという意味でのseeが多いのか~などと思いながら、この5つの単語の中で(ほぼ)日常生活では使わないgazeに注目してみました。

 

 

gazeが使われているのは次の3回です。日本語歌詞も並べておきます。

 

  • The Bells of Notre Dame

And he felt their gaze as if it were the eyes of God
(石像の視線を感じた) まるで神が見ているように

 

  • Out There

Gazing at the people down below me
(石の壁に隠れたままで) 街を見下ろしている

 

  • Top of the World

Gazing down from the top of the world
世界の頂上から (見下ろせば違う景色)

 

この3回を眺めてみると…

  • 3回とも、大聖堂から見ている
  • 見下ろしている
  • ……もしかして、わざわざgazeが使われているところは、神の視線って意味を含有してる???

 

gazeは動詞だと「見つめる・注視する」ですが、名詞だと「視線」という意味も持ちます。


わざわざ、視線という言葉を使う時とは…


視線、つまり、線を強調している。線には、始まりと終わりがある。視線は、目的のモノがあって、そこに一直線に目を、意識を、向けている時の線。「一直線にそれだけを見ている状態」

 

なぜそこまで「目的を持って見つめていること」を強調したかったのか…逆に、see、look、watchではダメだったのか??


石像の視線を感じている1回目はしっくり来ていたので、他の2回を、see、look、watchで言い換えてみました。

 

  • Out There

カジモドは、動いている街の人を興味を持って見ている。


Watching at the people down below me
おかしくないじゃん。


Looking at the people down below me
1人だけを見ているのではなく、いろんな人、全体を見ていると思うから、ちょっと変。
gazeもひとつのものを見ているけど、次々と人々に視線を投げかけている感じがある。


Seeing at the people down below me
積極性が減ってしまうけど、おかしくはない。

 

 

  • Top of the World

エスメラルダはこの時初めて高い所から街を見下ろしているので、景色を見ている感じで、まずはざっくりと全体を認識しているはず。


Seeing down from the top of the world
おかしくはない。


Looking down from the top of the world
いきなりひとつのものに注目している感じがあるので、ちょっと変。


Watching down from the top of the world
街は動いているけれど、もっと全体を見るのではないかなと思うので、ちょっとやりすぎな感じ。

 

 

言い換えてみて、確かにおかしくはないんです。
でも、gazeの方がしっくりきます。意思が強い感じがする。

 

何度も何度も、gazeとその言い換えを味わってみて、そして改めて他のseeやlookを使っている歌詞を見渡してみて、私がたどり着いた結論は…

  • あえてgazeを使っているところは、全て大聖堂から何かを見(下ろし)ている時である。
  •  
  • 大聖堂から見ていても、seeやlookを使っているところはある。
  • gazeを使っているところは、最初の一目なので、驚きと憧れを伴っている。(カジモドは何度も見下ろしているが、歌を歌う、つまり自分の心を表現しようと試みた、最初の部分で使っているので、一目めと換算。)
  • 神の視線を表しているのか……石像はもちろんのこと、カジモドやエスメラルダの視線を通して、神様が見ていることを表しているのかもしれない。
  • 大聖堂から見ている、ということに注目すると、Notore Dame(=聖母マリア)の視線を表しているのかもしれない

 

gaze の例文を更に読み込んだり、他の演目でのsee 、look 、watch の使われ方を読み込んだりすると、もっと深くなるかもしれません。

 

とりあえず今日はここまで!

 

今回も、お読みいただき、ありがとうございました✨✨✨