SIL考察:恋におちたシェイクスピアにおけるお金事情
【注意】この記事では、劇団四季 恋におちたシェイクスピアのネタバレを含んでいます。
恋におちたシェイクスピアを観ていると、「ウィル、簡単にお金のやり取り(というか、借金)してるなぁ」という印象を受けませんか?簡単に口約束で金貨をもらってる。それも、いろんな人から。だ、大丈夫??と心配になりまして、ちょっと計算してみました。
ということで、今回のテーマは、「恋におちたシェイクスピアにおけるお金事情」です。
まずは、基本の計算から。
ちょっと調べてみたんですが、年代によってイギリスのお金の単位は変化しているようで、簡単に「1ポンドいくら」とか、「ソブリン金貨1枚は何円くらい」というのがわからなかったんです。
ですが、劇中のセリフから今回の劇団四季の恋におちたシェイクスピア内でのお金の単位は割り出せるので、今回はそれをもとに記事を書いていきますね。
(ですので、史実とは違うかもしれません、ご了承下さいませ)
では、基本の計算の仕方です。
1ポンドは1ソブリン金貨です。
そして、
1ポンド=20シリング=240ペンス
これで通貨が計算されています。
※劇中で、お金の単位はいくつも聴こえてきます。
1ポンドと言ったり、1ソブリンと言ったり、ソブリン金貨1枚、と言ったり。
また、ペニーという単位も出てきますが、これは「ペンス」と同じです。ペニーの複数形がペンスです。
基本の計算の根拠
この計算の根拠は、冒頭のシーンのセリフです。
フェニマンさんがヘンズロウさんに借金の返済を迫るシーンですね。
「ロミオと海賊の娘エセル」を気に入ったフェニマンさんが、座席の値段を設定するシーンです。
「土間の立ち見席、1人2ペンス、500人。
桟敷席、1人3ペンス、400人。
貸しクッション1つ1ペニー、200個。
念のため2公演するとして・・・いくらになる??」
(ウォーバッシュさん役の鈴木さん)「きっかり20ポンド」
・・・というやり取りから、上記の基本の計算で、お金の計算をされていることがわかります。
ウィルのお金事情
では、ウィルはいくら借金しているのでしょうか?
借金というと聞こえが悪いですね、まだ書いていないけれどもこれから書く新作への前払い…ですね。
ヘンズロウさんから、3ヶ月前に3ソブリンもらっています。3ポンドですね。
そして、女王陛下の御前でヴェローナの二紳士を演じていたバーベッジから、2ポンド受け取っています。「とっとけ。ソブリン金貨・・・2枚!」(バーベッジさん太っ腹!)のシーンです。
先に約束したのはヘンズロウさんですが、期限を1ヶ月過ぎても1行も書けていない、主人公のロミオの設定すら出来ていない新作に対して、5ポンドの前払いを受け取っています。それも、二人から。
う、ウィル、大丈夫…??💦💦💦
貨幣価値は分からないのですが、ローズ座で満席の状態で1公演して10ポンドですから、そこそこの金額を受け取っているんじゃないかな、と思います。
他に、貨幣価値が分かりそうなヒントのセリフとしては、
- バーベッジは女王の御前で10ポンドもらってヴェローナの二紳士を演じている
- ウェセックスがヴァージニア(アメリカ)へ渡る為の船をしつらえるのに4000ポンド(船だけでなく、農園自体も含まれていたかも??)
などがあります。
おまけの考察
- カーテン座で公演された「ロミオとジュリエット」。
初演の日の売り上げは、
「2000人、満席だ!」「ひとり16ペンス払ったんだぞ!」のセリフから、
16×2000=32000ペンス
≒133ポンド
…ローズ座は満席で10ポンドなのに。
カーテン座って高級で大きな劇場なんですねぇ。
- エリザベス女王が判定役になっている、「芝居は愛の本質を描けるか」の賭け。
宮廷で、ウィルヘルミナ(ウィル)がウェセックスの後ろから掛け金「50ポンド!」と叫びます。
しかし、カーテン座で女王が判定を下したとき、「掛け金はいくらでしたっけ?」と聞かれて思わず「50…シリング」と答えるウェセックス。
どれくらいサバを読んだかというと…
50ポンド=1000シリング
だから、20分の1!!
そりゃ、女王に失笑されますよウェセックスさん…
お金ってその時の生活を如実に表すので注目してみると色々見えてきます。
途中出てくるお酒がいくらなのかな~とか、フェニマンさんはお店をまるまる貸し切りにしちゃうけど、どれくらい支払ったのかな~なんて考えるとおもしろい。
史実や、イギリス文化をもっと勉強するとおもしろいのかなと思うのですが、今日のところはここまで………!
以上、セリフから考察する「恋におちたシェイクスピアのお金事情」でした。
今回も、お読みいただき、ありがとうございました✨✨✨