上手く行った時にこそ、分析を。

【上達したいと思う何かがある時】

 

上達したいと思う何かがある時。

 

失敗を分析する人は多い。
なぜ失敗したか、どこを直せばいいか。
……それは絶対に必要な過程だし、そこから学ぶことは多い。

 

だけど、上手くいった時こそ分析すべき。

 

上手くいった高揚感で流してしまいがちだけど、なぜそのパフォーマンスを引き出せたのか、それを知らねば意味がない。
ただの「まぐれ」になってしまう。
的確に分析し、記憶すれば、再演の回数が増える。

 

それは立派な上達じゃないか。


スキーで。
時々「今日イチ(今日いちばんの、良いパフォーマンス)」の滑りが出る。

 

今日イチが出たら、なぜ良かったのか、なぜその時そのパフォーマンスが出たのかを分析する。

 

身体を使うパフォーマンスの場合、「なんかわからんけど上手くいった」という事が起こる。
なぜそのパフォーマンスが出たのか分からないけれど、上手く行くときがある。

 

スキーの場合、例えばその時の雪面の状況、身体の疲れ具合、心の持ち方がパフォーマンスに影響する。
それらが上手く噛み合ったとき、「なんかわからんけど上手くいった」が起こる。


例えば絵のように、ひとつのパフォーマンスに時間をかけて微調整を繰り返し、作り上げていく、というパフォーマンスもある。


しかし、身体を使うパフォーマンスは、スキーであれ、歌であれ、ダンスであれ、そのパフォーマンスはその一瞬の一度きり。成功も失敗も、はっきりと一度で決まり、終わってしまう。

 

「今日イチ」の滑りがそこに存在したならば、その一瞬を引き出すことに成功した要因を、出来るだけ具体的にたくさん分析し、その「一瞬」を「一瞬」で終わらせない努力が大事。
分析・記録することで、「一瞬」を永遠にする。
たくさんの引き出しに、今日イチのモトを蓄積していく。

 

全く同じ条件での演技は二度とないけれど、次に演技をするときに、似た条件を思い出し、引き出しから今日イチのモトを取り出して、再現してみる。

 

上手くいけばまた分析・記録する。
失敗したら、どこが違ったかを分析・記録する。

 

絵のように微調整を繰り返せるパフォーマンスでは、いろんな引き出しから道具を取り出してきて、時間をかけて完成を目指せばいい。その引き出しの多さがテクニックとなり、個性になる。

 

一瞬で出来が決まる、身体を使うパフォーマンスでは、成功したときの引き出しから似たイメージを取り出してきて、これからの演技に役立てる。その引き出しの多さがテクニックとなり、個性になる。

 


スキーだけじゃない。
絵も歌もテスト勉強も恋も。
上手くいった時こそ大事。

 

***
あなたが指導者ならば、たっぷり誉め、認めたら後、なぜ良かったのか、どうしてそのパフォーマンスが出たのかを分析して伝えてあげてほしい。


パフォーマーは高揚して頭の中キラキラで、分析出来ていないので、冷静に具体的に何が良かったのか伝えてあげてほしい。先生からの具体的な言葉は、その上手くいったパフォーマンスを的確に記憶させてくれるから。

 

失敗を指摘することは容易だ。悪いところは目につくし、改善のアドバイスもしやすい。
上手くいったことを具体的に誉めるのは難しい。指導者が本当に「良いパフォーマンスとはなにか」を理解し、自分の言葉として持っていないと、ただ「良かったよ!」しか言えない。

***

 

高慢な指導者目線で話をしたいのではなく、自分自身が何かを学ぶときに、自分で自分を指導するつもりで物事を見ると、学びが深くなるから。

 

自分が指導者として立つときは指導者として忘れずにいようと思う。
自分が学ぶ立場にいるときは、ただ先生にお任せするのではなく、その学びを最大限生かせるように忘れずにいようと思う。


今回も、お読みいただき、ありがとうございました✨✨✨