HNDイベントレポ:【2019.1.24 ノートルダムの鐘 名古屋】ノートルダムアカデミー

ノートルダムの鐘 名古屋公演

ノートルダムアカデミー
第1回テーマ:ラテン語のひみつ~壮大な音楽とのふれあい~


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【注意】この記事では、劇団四季ノートルダムの鐘のネタバレを含んでいます。
 
 

 

私、個人の感想です。

 

偏りや、個人的解釈を多く含んでいます。

 

ご了承下さい。

 

 

※記事本文の後に、この日のイベントにご出演されたキャストさんの一覧を載せています。

 

メニュー:
①アカデミー

②プレゼントのお知らせ

 

ポイントは………
ノートルダム考察がますます深くなる……!

*四季では聴けない歌が聴けた………!

 

今までいくつかノートルダムの鐘のイベントに参加してきましたが、「アカデミー」というのは今回が初めて。
今までのイベントも十分アカデミックだったのに、どんなイベントになるんでしょう??と、とっても期待して参加しました。
そしてもちろん、期待を裏切らない素敵なイベントで、とても勉強になりました。

今回のイベントが、今までと違った点のひとつとして、事前に公式さんから予告があったんですよね。
twitterで、”こんな練習をしていますよ”というツイートが投稿されていました。


まぁ、題名からしてもクワイヤさんがご活躍されそうな題目ですが、事前ツイートの時点で、クワイヤさんが登場してくださることが予測できて、それもどうやら全員いらっしゃるようだぞ……!!と、クワイヤ推しの私は始まる前から大興奮だったんです。

ということで……気合十分で参加してきました!

 

では、レポートを!

 

まず、受付の時に、この紙をもらいました。

(今回は持ち帰りOKでした!)


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ふっふっふ、期待高まるやん!

と、ワクワクを胸に、マチネ公演を観劇。

そして………

 

スタッフさんの「これから始まります」というアナウンスの後、聞きなれた、あの「カーン、カーン、カーン」という鐘の音が鳴り響き……
舞台奥から、クワイヤローブ姿のクワイヤさんが、まるで本編の冒頭のように登場されました!


もちろん、歌いながらです。


私は前方席にいましたので、マイクを通した声も聴こえましたが、生のお声も聴こえてきて、嬉しくて卒倒しそうでした。

いつもは2階にいらっしゃって、絶対聞くことのできないクワイヤさんの生のお声に震えました。
「あーあーあ」のところまで歌ってくださったところで、歌は一旦終了。
(でも、オケはそのまま流れ続けていて、クロパン役の「ぱーりのあさ…」のところのオケが聞けて、マニア的には垂涎ものでした)

そして、上手側後列の男性クワイヤさんの列から柳さんが真ん中に出てこられて、今日の司会を務めてくださいました。

並びは、(敬称略にて失礼いたします)

           ←下手  |  上手→
     和田  高井  澤村  青井  |  柳  坂下  馬場  見付

関根  青柳  宇津木  小山  |  町島  北野  秋山  杉山

つまり、劇中でのクワイヤさんの並び方ですね!

(司会をされる為、柳さんの位置だけ本番とは違ってます。)

 

ちなみに、あの並び方はパートごとになってて、

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こう、かな。


あ、あと、キャスト表のお名前の順番で並んでいらっしゃるわけではありあせん。

出演されるキャストさんの組み合わせによって並び方が変わります。背の順に並ばれているようです。各パートごとで、端から内側に向かって高→低となるように並ばれているのが基本のようです。
でもこれもあくまで基本ルールのようで、背の順番じゃない日もあります。お声のこととか、マイクのこととかで、細かく調整されているのかなぁ?

ちなみに、キャスト表のお名前はパート順になってます。

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貴重な1曲を聴けて既に感謝でいっぱいの私たちですが、アカデミーはまだスタートしたばかり。
ここから、柳さんのお話が始まります。

 

ラテン語について

(以下、カギカッコ前のお名前、敬称略させていただきますね)

 

柳「今回のテーマはラテン語のひみつ、壮大な音楽とのふれあい、です。
皆さんの中で、ラテン語を知ってる方っていらっしゃいますか?」

客席、ざわ。
(ら、ラテン語、ええっと、ノートルダムの鐘に出てくるラテン語なら調べたおしているので、正直だいたいわかりますが、それって知ってるって手を挙げていいのかなぁ??)もじもじ。

柳「あ、皆さん、手を上げないでいてくださったわけですね、ありがとうございますw」
客席、www

柳「ラテン語というのは、
イタリア半島の中部にあるラティウム地方、現在はラツィオと呼ばれる地方、ローマを中心とした地域にラテン人が使っていた言葉です。
ローマ帝国公用語となったことで、ヨーロッパの西部や南部、地中海沿岸にも広がりました。
西ローマ帝国が滅んだことで、ラテン語を日常的に使うことはなくなってしまったんですね。
現在もバチカン市国公用語ではありますが、皆さんもご存知の通りバチカン市国はローマの中にある国なので、日常的にはイタリア語を使っているそうです。ですので、現在はラテン語を日常的に使っているところはない、ということになります。」

そして、大きな文字を印刷した紙が貼られたホワイトボードが登場します。

 

■Olimの解説


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柳さんの単語解説

  • olim → いつか
  • deus → 神
  • accelere → これは調べたんですけどよくわかんなかったので飛ばしますw(客席、www)
  • hoc → ここ
  • saeculum → 時代
  • splendidum → 輝く
  • accelere → これはまた飛ばしてw(客席、www)
  • fiat → ~する
  • venire → 来る
  • olim → いつか

そして、日本語の歌詞も読んでくださいました。

次は英語……なんですが、
柳「僕は英語は発音がアレですので、ここはこの人に読んでもらおうと思います。」

ということで紹介されたのが、Spの関根さん。
ホワイトボードの横に立った関根さんは、とても流暢な英語で歌詞を音読されます。
あまりの流暢さに、速くてついていけない会場w

柳「あ、えっと、きれいな英語過ぎて聞き取れないので、ゆっくり、お願いできますかねw」
関根「www」
で、もう一度、ゆっくり読んでくださいます。

会場、拍手!!!

ここで、関根さんのご紹介がありました。
関根さんは、ノートルダムの鐘カンパニーの中で唯一、海外のノートルダムの鐘に出演していた方なんだそうです!
アトランタのオーロラ劇場というところで、フロリカをされていたそうです!!!

アトランタノートルダムの鐘は日本のものよりも作品の規模が小さくて、クワイヤは存在せず、アンサンブルが(柳さん曰く、「暇なとき」www)後ろの1段高いところに上って歌う、というスタイルだそうです。

関根さんはフロリカがとっても似合う素敵な女性でした!!!

 

さて、ラテン語、英語、日本語のすべてが出そろったところで、ひとつひとつの単語を見比べていきます。

Olimは、英語だとsimeday、そして、”いつか”
Deusは、god、神。
といった調子です。


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先ほどは飛ばされてしまったaccelereですが、単語比べをしていく中で、speedが相当しているのではないかと推測できます。
そしてこの言葉は、音楽用語の「アッチェレランド」(イタリア語、accelerando、accel.と略記。)に似ていて、これは「だんだん速く」という意味だそうです。ということで、accelereは速さに関係する言葉なのではないかと。

ここまでの説明を聞いていると、
英語が中心で、それにラテン語の単語を対応させていってる
ということがなんとなく感覚に入ってきます。

そして、その通りなんですよね!
柳「英語がラテン語に訳されたんです!どうか今日はこれだけは覚えて帰ってくださいね。」

はい!
もちろんです、(7月のOlimを歌おうイベントの時もOlimについては説明を受けていたので、実は知っていたんですが…!!)そのことは、丁寧な説明と、お話の「流れも持っていきかた」が的確だったのおかげで、とってもよくわかりました✨✨✨

 

■Kyrie eleisonの解説

柳「では、最初にお配りした紙の中に移りますね。最初に書いてあるのは飛ばして、まずはKyrie eleisonについて説明します。
冒頭ではみんな会衆となって登場しますが、皆さん会衆ってわかりますか?」

客席(特に前方)、ざわ。(もっちろんだぜ!ノートルダムの鐘マニアとして、会衆の意味がわからないわけないぜ!でも、ここでわかりますって顔をしていいのかなぁ……わかんない人もいるだろうし……)もじもじ。

柳「会衆というのは、集まりに来た人たち、という意味です。何かの目的をもってここに集まった人たち。キリスト正教会では、正教会に集まった信者のことを会衆というようですが……

ここにいるのは、1年に1度、カジモドとエスメラルダの話をしに集まってくる人たちなんです。この話を語りたい人、話したいというエネルギーを持った人たちが集まって来ているんですね。それが、会衆です。この話を語りたい、と集まって、その場で即興劇をして話そう、という意思をもって集まった人なんですよ。

客席、ざわわわわ。
私、おおおおおおおお!!!!!会衆ってそういう人たちだったんだ!!!!謎が解けたぁぁぁぁぁ!!!!感動!!

 

柳「それでは、Kyrie eleisonについてです。
これは、もともとギリシャ語だったものをラテン語読みにしたものなんですが、

  • Kyrie → 主よ
  • eleison → 憐れみたまえ

という意味ですね。
では皆さん、お願いします。」

ピアノで音をとって、
柳「どうぞ」
クワイヤ「Kyrie eleison~♪」

客席、拍手

 

柳「これは、ジェアンとクロードが出てきた後で歌います。
その時、どんな気持ちで皆さん歌っていますか??
ここで柳さんがクワイヤさんを下手から上手まで見回しますが、みんな譲り合っているのか、発言者がいません。
そしたら勢いよく手を挙げられたのが、馬場さん!
馬場「ここでのキリエ・エレイソンは、クロードとジェアンのこれからの人生に向けて歌っています。
クロードはこれから聖職者になるという人生だし、ジェアンは遊びが大好きで、自分に正直に生きる人生ですが、二人とも死んでしまう。そんな人生に寄り添うような、そんな思いを込めて歌っています。」

 

柳「ジプシーを連れ込んでしまったジェアンは追放されてしまいますが、その時にもキリエ・エレイソンを歌います。この時は?
次は柳さんがご指名。ベースの澤村さんです。
澤村「おでこの右側にマイクがついているので、そこに向かって歌います。」
客席、wwwwwwwww
澤村「(ニコニコ。笑顔がとても素敵!)
では、真面目に。
やはり、ジェアンとクロードの未来について想っているのは変わりません。
でも、ジェアンは禁忌を犯しているし、クロードは、正義を持っているんだけど、実はいびつな正義だった、その正義がおかしな方向に向かうようになったきっかけの事件がこれなので、その、そういうことを踏まえて、歌っています。」
柳「ふたりへの戒めのような気持ち。」
澤村「そうですね。」

柳「ジェアンからカジモドをたくされるクロードですが、どうするか迷って街の中をさまよいます。そして、大聖堂の側の川に赤ちゃんを投げようとするんですが、その時にもキリエ・エレイソンを歌います。このときはどんな気持ちで歌っていますか?
今度は、アルトの町島さんをご指名です。
町島「ここのキリエ・エレイソンって、唯一、アンサンブルも歌うんですよ。
他のキリエ・エレイソンは全て、クワイヤだけで歌うんですね。
会衆の目線だったり、神の裁きだったり、シーンをバシン!!!って切るためだったりするんですが、クワイヤだけで歌っています。
でも、ここだけはアンサンブルも歌うんです。

私は、クロードが赤ちゃんを殺すのを制するような気持で歌っています。
『ホントにやるのかお前?!』みたいな。かなり厳しい目線です。睨みつける、刺すくらいのイメージです。
アンサンブルでいるときも同じです。
赤ちゃんを殺すなんて普通に考えても、あり得ないことですよね?
更にキリスト教では、命を大切にっていう教えがあるのに、
そんなことを、ほんとにやるつもりなのか?!?!って。
神の視点でもあるかもしれません。」

 

柳「誰にどう向けられているのかを聞いてもらうと、より深く感じてもらえるかと思います。
こういうことって、日本でも同じようなことあるなぁ……と思ったので、ちょっと調べてみたんですが、
仏教の浄土宗で、『南無阿弥陀仏』という言葉がありますが、阿弥陀如来の救済を待つ、といった意味があるそうです。
これに似ていると思いませんか?」
客席、うなづく

柳「あ、何人かはうなづいてくださってますねw
では、次の話題に行きたいと思います。」

 

Dies irae, Dies illaの解説

柳「紙にあるDies irae, Dies illaについてなんですけれども、今日は上の部分だけやりまして、後半は飛ばします。

  • Dies irae → 怒りの日
  • Dies → 日 
  • illa → その

Dies irae, Dies illaはセットで「怒りの、その日」という意味ですね。
キリストが最後の審判を下す日のことです。

  • Solvet  →  破壊
  • sæclum → 世界
  • in favilla → 火で灰になる

この歌詞のメロディは、ノートルダムの鐘で使われているメロディだけではなくて、他にもたくさんあるんですね。

修道士セラノのトーマスによって選定されたグレゴリオ聖歌を聴いていただきたいと思います。
では、高井さん。お願いします。」

なんと!!!!!
高井さんがグレゴリオ聖歌Dies iraeを歌ってくださいました!!!!
気になって死んでしまうよ……という方は、wikiを見てみてください、楽譜も載っています!
https://t.co/sERM7zc5P7

 

柳「このメロディは『死』を表すテーマで、このメロディを使っている曲がたくさんあるんです。
ベルリオーズの「幻想交響曲」の第5楽章、
リストの「死の舞踏」(Totentanz)」、
サン=サーンスの「死の舞踏」、
などがそうです。

ではここで、Dies iraeの曲を2曲、お聞きいただきましょう。
モーツァルトのレクイエム
ヴェルディのレクイエム
です。

では、マエストロ・山田さん、そしてピアノ・山下さん、お願いします。」

と、下手から、スーツ姿の山田さんと山下さんが!!!!!!
めちゃくちゃ素敵でした!!!!!!!

エストロ・山田さんの合図で起立し、中央に集まるフォーメーションになるクワイヤさん。
スッと手が振り下ろされて……

めちゃくちゃ素敵な指揮のもと、めちゃくちゃ素敵なピアノが鳴り響き、めちゃくちゃ素敵な歌声が……

私、息が止まりそうでした……!!!!

皆さん、どうかここで、この2曲を聴いてみてください。
youtubeのリンクを張っておきますね。


モーツァルト:レクイエム 怒りの日 (Requiem Dies irae) - YouTube


ヴェルディ レクイエム 「怒りの日」 - YouTube

聞いたことあったでしょ??!!
モーツァルトのレクイエムは、ロト7のCMで、
ヴェルディのレクイエムは、新世紀エヴァンゲリオン劇場版で使われているそうです。(私は「テルマエ・ロマエ!!!」って思ってましたがwww)

っっっっと、ここで時間が来てしまいました。
動員担当の見付さんからのお知らせがありました。

ノートルダムアカデミーはあと2回あること。違うテーマで行うが、次のテーマはアルプ2月号にて発表だそうです。
見付「皆様、お誘い上の上……???」
客席、www
柳「お誘いあわせの上」
見付「(ニコニコ笑顔で)お誘いあわせの上、お越しくださいませ!!!」

 

そして………ここで!!!!!!
今日まで秘密にされていたプレゼントについての発表があったんです!!!
「今日、劇場の窓口で、今日以降のチケットをご購入の皆様全員に、田中彰孝さんと相原茜さんのサイン入りのクリアファイルをプレゼント」
というもの!!!!!!!!
っっったぁぁぁぁぁやられたぁぁぁ。
その場で頭を抱える客席。
でも、3秒後にはみんな覚悟を決めていましたよね。
そんなプレゼントを用意されていて、買わないわけないじゃん!!!!!!

※実際には、この日にネット上から予約したものもOKで、予約番号を窓口で言えばプレゼントをもらえました。ギフトコードの使用もOKでした。

 

そして、最後に、
モーツァルト:レクイエム、アヴェ・ヴェルム・コルプス
の歌のプレゼントをいただいて、
イベントは終了しました。


モーツァルト 《アヴェ・ヴェルム・コルプス》 ロンネフェルト指揮 - YouTube

 

ラテン語という出発点から、ノートルダムの鐘の「内側」だけのお話にとどまらず、普段はなかなか知るきっかけのない音楽の話や歴史の話に触れることができて、とてもとても充実していました。
ノートルダムの鐘が大好きです。これは、もう間違いない事実です。
でも、ノートルダムの鐘をきっかけに、ほかの音楽や歴史学んでみたいと思いました。
作品をきっかけとして、いろんな方向に人生が豊かになっていきます。
本当に素敵な作品です。
そして、本当に素敵なイベントでした。

ありがとうございました。

 

 

本日のイベントの出演者
【男性クワイヤ】
坂下良太・馬場明成・柳 隆幸・見付祐一・青井緑平・澤村楽人・高井 治・和田ひでき

【女性クワイヤ】
宇津木泰子・小山百合恵・青栁歌奈・関根結花・町島智子・北野有希依・杉山由衣・秋山知子

エストロ 山田充人
ピアノ 山下泰明