HNDイベントレポ:【2019.2.20 ノートルダムの鐘 名古屋】第2回ノートルダムアカデミー

【注意】この記事では、劇団四季ノートルダムの鐘のネタバレを含んでいます。
 
 
 

私、個人の感想です。

偏りや、個人的解釈を多く含んでいます。

ご了承下さい。

 

※記事本文の後に、この日のイベントにご出演されたキャストさんの一覧を載せています。

 

【2019.2.20ノートルダムの鐘名古屋公演】のイベント、ノートルダムアカデミーのレポートです。
開催から随分時間が経ってしまったんですが、当日に書き起こした膨大なメモを書き起こすのはなかなかの労力で……
(字が汚すぎてwww すごい情報量を一気に書き殴ってあるので、はい……)
いつになるかわかりませんが、ちょっとずつイベントレポをあげて行こうと思っています。

 

では、
2019.2.20

第2回ノートルダムアカデミー

「時代背景から学ぶノートルダムの鐘の世界」

のレポートです。


f:id:naomi-loves-math:20191008011009j:image

メニュー:
①講義

ユゴーについて

実在の人物、ルイ11世について

ノートルダム大聖堂について

ブリューゲルの絵について

②動くマネキン平良君登場!

 

ポイントは………
*歴史の固い話もあるけど、聞きやすいストーリーを作って下さっていて、「この俳優さんだからこそ聞ける内容」がとても深い

*平良さんの生着替えがっ!

 

 

①講義

スタッフさんからの事務的な注意事項の説明があった後……
チリンチリンチリン♪(ベルの音)
クワイヤの井上隆司さん登場

「着席~~~っ✨✨✨!!!!(テンション高め)」

 

(以下、カギカッコ前のお名前の敬称略で失礼します)

 

井上「あぁ、座ってましたね、すみませんw」
客席、笑
井上「では、今日はノートルダムアカデミー第2回、時代背景から学ぶノートルダムの鐘の世界っていうことで、始めて行きます!
我々は、作品に携わると台本を読み込むのはもちろんですが、歴史的なことを調べたり、原作を読んだり、図説を見たり、そういった資料を集めて作品を深めていく作業をします。また、よりキャラクター設定をはっきりさせるってことも行っています。
今日は、今日出演した俳優何人かと一緒に役作りのエピソードなどを伺ってみたいと思います。
そこから歴史的な背景を紐解いていくっていうことで。
では、一緒にやってくれる俳優4名をお呼びしましょう!」

 

(トプシーターヴィーの音楽♪)
井上「みんなーおいでー!♪」
客席私、(い、い、い、井上さんの「みんなーおいでー!♪」だぁぁぁぁぁぁひえぇぇぇぇ!)

 

井上「ではまず自己紹介から」
賀山「賀山祐介です」
平木「平木萌子です」
山田「山田充人です」
荒巻「荒巻くるみです」
井上「そして進行役、井上隆司でお送りします。
では、ノートルダムアカデミー、開講!!!!!
チリンチリン♪」

 

ヴィクトル・ユゴーについて

井上「ノートルダム鐘は1482年1月6日の朝から始まりますが、それだけでも時代背景を紐解いていくことは出来るんですが、多方面に見ていこうと思います。
まずは原作ね、ヴィクトルユゴーの原作があるわけですが、役作りのエピソードなんかも聞きましょうってことで……
どなたか……」


賀山「あっ、じゃ俺がw」
井上「では賀山さんw」


賀山「ヴィクトルユゴーにはあまりなじみがなかったんですが、えっと、ちょっと個人的なことをお話するんですけども、僕は生まれる前に祖父が他界してるんです。
だから、『おじいさんってどんな人?』って聞かれても、こんな人だった~って周りから聞いていたとしても、自分はよくわからないっていうね。
ああいう感じがユゴーにもあってw」
客席、笑


賀山「『あぁ無情』、図書室に必ずありませんでした?
今でいうと、横文字で、あの、ねwwww」
井上「なんでしたっけ、山田さんw」
山田「れ・・・」
みんな「ぴーっwww」
賀山「とにかく、あぁ無情ね、暗くて、嫌煙してたんですよね。
僕、本は好きなんですけども。
ノートルダム・ド・パリっていうのもね、あったんですけどね。
で、ノートルダムをやることになって稽古に入りますって時に、演出家のスコットシュバルツさんから、ひとつだけ俳優さんに宿題がありますってアメリカからメッセージがきて、ノートルダム・ド・パリの原作を読んでくださいって。
で、買ったら長いんですよ!上下巻があって!
今うんうんってうなずいてた人いますけど、(←私もうなずいたw)だぶんねぇ80%くらいの人はあれ断念しちゃうと思うw
僕もねぇ、実は稽古初日には間に合わせられなかったんですよw」
客席、俳優、一同笑
賀山「大変なんですよw
聖堂のことが事細かに書いてあったり、話が始まるまでにお祭りのことがずーっと書いてあったりして、ユゴーってのは未だにつかみどころのない存在だなってw
でもやっぱりこのノートルダム・ド・パリって原作があって、ミュージカルとか映画とか、いろんな人が触発されて2次的に作品を作ってて、それぞれに俳優さんなり歌い手なりがいて。いうなれば僕らはユゴーの孫みたいなもんだななんて思いながら演技してるんだけど、ちょっと、死んだおじいさんの血が僕にも流れてるんだなみたいなことを思いながらやってる。
原作だったらこう、って反映しているわけではないけど中に通っているものがあって、だから現代的になりすぎないように気を付けたりします。
この作品にアカデミックなところがあるっていうのは、凄く重厚な原作があるからなんだなぁなんて思っています。」

 

井上「ありがとうございます。
いきなりおもしろい話でしたね。

歴史的な背景からってことなのでヴィクトルユゴーについてちょっとお話してみたいと思いますけれども、
1802年~1895年、19世紀に生きた作家でロマン派です。
このころの時代背景って何があるのか調べてみたら、ユゴーが生まれる13年前1789年にフランス革命が起こっています。
フランス革命って何かっていうと絶対君主政が崩壊して市民が革命を起こしたっていう、マリーアントワネットが処刑されたとか、ね。
ユゴーが生まれた時は、1804年にナポレオンが即位したけど、1814に退位して…ってナポレオンの時代だったわけです。
ノートルダム・ド・パリが描かれたのが1831年のことで、この頃は1830年にパリ7月革命が起こっている。ナポレオンがひっくり返されて王政復古したんだけど、またブルボン朝が市民によって倒されてて、ってゆう、市民がどんどん動き出していくっていう時代だった。
日本はというと、江戸時代から改革に進んでいくっていく時代、キーワードとしては大塩平八郎の乱って、どんな乱だったか覚えてないけどwwwww
そういう時代だったという。
これがユゴーが生きていた時代。」

 

実在の人物、ルイ11世について

井上「ノートルダムドパリはフィクションなんですが、唯一実在の人物が出てくる、そこにスポットを当てていきたいな。
その方がいらっしゃっているのでお呼びしましょう、ルイ11世役の山田さん何かありますか?」

 

山田「ルイ11世についていろいろ調べたんですけど、悪いことしか書いてないんですよね。
不穏な奴とか、不気味な奴とか信用できないとか。
なぜかというと敵国からの資料しか残ってないみたいで、悪口ばっかり書いてあるので、調べれば調べるほど嫌な奴ってことしか出てこなくて。」
一同、笑
山田「例えば、作品の中でも出てきますけど、慎重王って呼ばれてて、何が慎重なのかなって思ってたんですけども、
別名で『遍在する蜘蛛』って呼び名があるらしいんですよね。
蜘蛛って、こう、悪魔的な扱いだったり、ちょっと嫌なイメージなんですけど、父親のことを暗殺しようとしたり、敵国と和解しに行こうとしつつも向こうの中で反乱を起こさせようとしたりとか、ちょっとずる賢いところがあるみたいで。
国の誰からも信用されてなかったし、自分も信用してなかったみたいな。
自分の国を治める時も、自分の国の市民と貴族を争わせて、『支配するには仲違いをさせろ』っていう戦術を使ってたみたいで。仲違いをわざわざさせて、そこの間に入って支配をするっていうみたいな人だったらしい。
あと、ぞっとしたのは、動物好きってのもあったらしいんですが、ヨーロッパ中の犬を集めてみたりとか、豚の踊りを見るのが好きとか。そんなのはいいんですけど、死ぬ間際に自分の部屋に大量のネズミと猫を用意して殺戮の楽しんだとか、……どんな人なんだって💦
まぁそういうあだ名が付くぐらいだから、不気味がられてたんだろうなっていうのはわかったんですけども、じゃぁそれをどう作品の中で生かしていけばいいのかなって言うのが難しくて。
シーンとして王様のところが少ないっていうのと、あと、実在する人物を調べれば調べるほど、実際に出てくるフロローはフィクションなんで、そこはちょっと難しかったですね。
そことの関係性はどこにも書いてないから作るしかなくてフ、ロローのことは信用してないだろうとか、自分に降りかからないものは放っておけよっていうスタンスだけど、だけど、身にかかりそうだよって言われて、あっ、じゃぁお願いするわみたいな、そういうところを表現していけたらなっていうのが課題で今も取り組んでいます。」

 

井上「僕自身も今回のイベントのことで調べたりしたんですけど、みなさんそれぞれ見る位置が違うから、僕も今話聞きながら興味深いなって思って聞いています。
ルイ11世は舞台の中では小心者っていうキャラクターですが、実際には今山田さんがおっしゃっていたようにものすごい慎重に策略とかいろいろ企ててたって人みたいですけど、でもフランスの国王の中では一番長く国王として国を治めてたとも言われてるみたいですね。そのギャップが面白いのかもしれませんよね。

ルイ11世についてもうちょっと詳しく歴史的な背景をお話しますと、1423年~1483年に生きていて、だからノートルダム・ド・パリの舞台の1482の次の年に亡くなっているってことですよね。
この頃に何があったかというと、1453年にフランスとイングランドの100年戦争ってのがあって、ジャンヌダルクが活躍した戦争ですけども、こういうのが終わった時代です。
発明とかで言うと、1440年に印刷機が発明されて、1456年にドイツのグーテンベルク活版印刷で聖書が初めて印刷されるんですね。
それとか、1488年に喜望峰を発見、バスコダガマとかコロンブスとかが出てくる大航海時代に進んでいくっていう時代です。
目先を変えると、イタリアではルネッサンスの起こった時代。ミケランジェロとかレオナルドダヴィンチとか、ダンテとかね。
中世の文化からルネッサンスの文化へ変わっていく、そういう時期だった。
文化にしても社会にしてもどんどん変化していた時代が1482年のあたりってことです。

一方で14世紀~17世紀にヨーロッパで大流行したのが黒死病っていわれるペストがあります。
劇中でもフロリカが天然痘で亡くなってるんですけど、病気は違うけれども……。
この時代は医学も発展もしていないし、今日を生きるのが精いっぱい、っていう時代だったんだと思います。
聖職者とか、農民とか、市民とか、兵士とかそういう、仕事とかお金とかがある人がそれなりの生活をしていただろうけど、それに比べてジプシーとかはもう生きるか死ぬかで大変だったんだろうと。

そのころ日本は、室町時代
名前聴くだけで平和な感じですよねw
なんか生きるか死ぬかなんて考えてない感じw
1464年に応仁の乱があったりします。1483年には足利義政銀閣寺を建てています。
そういう時代だったのが、ノートルダムドパリが書かれた時代。」

 

ノートルダム大聖堂について

井上「今、銀閣寺って話が出たんですけども、この話では切っても切れないのがノートルダム大聖堂なんですけど、その話をしていきたいと思います。

それについては・・・荒巻さん」


荒巻「あっはい!
私はノートルダム大聖堂には行ったことがないので、どうやったらリアルに大聖堂を感じれるのかなって思った時に、資料とかでシャンデリア…じゃなくて」
井上「ステンドグラスw」
一同、笑
荒巻「そう、ステンドグラスとかを見るのはきれいだなと思うんですけども、やっぱり行ったことのある人の話を聞くのがいちばんかなと思って、行った事ある友人とか、行った人のSNSを見たりして。
ノートルダム大聖堂の外は観光客がすごく賑わっているけど、入った瞬間空気が一瞬で変わるって、鳥肌が立って、っていうのを聞いて、そういうのを、舞台でも開演の時、あの……ざわざわざわってしてるところからシーンとなって鐘が鳴って、っていう、そこで始まれるように、って、お客様も私たちも感じれるように想像しながら演じています。」

 

井上「素敵な話だなぁ。
エスメラルダがノートルダム大聖堂に入ってきてフロローと話したりするところも、シーンとした中で話が進んでいったりとか、そういったところで大聖堂の雰囲気を感じてもらえるかと思います。

 

ノートルダム大聖堂について話したいんですけども。
中世時代っていうのは教会の権威が大きかったと言われています。
その教会の役割っていうのは、人々が集まってくる場所。人々が話を聞く場所だったんですね。
この時代には字を書いたり本を読んだりってことが出来ない人が多かったからステンドグラスの絵とかを見てキリストの教えとかを学ぶっていう。司教さんの説教を聞いたりとか。
この作品でも冒頭でフロローの説教を聞きに来たのだ、ってありますけれども、みんなが集まって話を聞くっていう、そういう世界観があったんです。
教会を中心としたコミュニティがあった。
教会がそういう権力を持っていて、弾圧したりとか排除をしたりっていうことを生み出してしまう社会が中世にはあったわけです。
この作品の中でも、そういう場面が見受けられるので、そういうことを感じることが出来ると思います。

この、中世からルネッサンスの時期に、印刷機が出来たことによって聖書が印刷されたんですけども、そうすると、聖書を読んだら別に教会に行かなくてもいいじゃないって。
字を読んだり書いたりすることが出来るっていう識字率が高まっていって、思想の多様化ってことも起こって、教会に人が集まらなくなってくるんです。
中世では人が集まっていたのに、教会に人が集まらなくなっていくって時代になってくる。
フランス革命の時に、ノートルダム大聖堂は、自由な思想を持つ人たちにとっては、宗教を批判して……破壊とか略奪とかっていう対象になってしまって、大聖堂は無茶苦茶にされちゃったらしいです。彫刻の首を落としちゃったりとか。
ノートルダム大聖堂自体が廃墟化してしまった時代。
それがあったので……ノートルダム・ド・パリユゴーが書いたのは、荒廃して取り壊されかけていたノートルダム大聖堂は……その歴史的建造物は残らなければいけないって意義を持ったからだって言われているんだそうです。
最初に賀山君が言ってくれた、いろいろ建造物の描写がどうとかっていうのは、ノートルダム大聖堂っていうのはこんなに素晴らしかったんだ、今は荒廃しているけれども、っていうことをユゴーが言いたかったから書いたのかもしれませんね。
聖書や書物といったものが大聖堂を滅ぼすっていう一節がノートルダムドパリには書かれていたりします。それを助けるためにノートルダムドパリをユゴーが描いたっていう。」

 

ルーベンスの絵について

井上「ノートルダム大聖堂ってパリだけにだけでなくいろんなところにあるんです。
有名なところだと、フランダースの犬ルーベンスの絵がある教会もベルギーのノートルダム大聖堂だったりします。

 

今、ルーベンスの絵のことが出てきましたが、ここで絵についてちょっとお話しましょうか。
演出家のスコットシュバルツが、この絵を見てノートルダムの世界観のインスピレーションを得てくださいって言った絵があって、『この絵を見て!』って稽古中に紹介してくれた画家がいるんですけれども、
この画家については・・・
あぁぁぁじゃぁじゃぁじゃぁ、平木さんお願いします。」

 

平木「あの、バベルの塔で有名なブリューゲルっていう画家の絵で、農民の絵を紹介してくださったんです。
パッと見た印象は色鮮やかだなって思ったんですけど、よく見ると全部くすんだ色で。
透明感のある色じゃなくて、くすんだ色ばっかりで、それで鮮やかさを作ってて。
ノートルダムの光と闇っていうところで、鮮やかなのとくすんでいるのがマッチしていて、これがノートルダムの色なんだなって思って。よく見ると衣装もくすんだ色ですしね。
絵に似ているのは火刑のシーンとか、トプシーのシーンとかで、照明とかもそういう色だなと思いました。

あとは、農民の人たちが描かれてるんですが、あんまり笑っていなくて……笑ってるんですけど、心がない笑い方をしていて、スコットが『常に冷ややかな目をもってタフな世界に生きてほしい』って言っていたのが印象に残っていて。
ここからはは妄想なんですけど、この人たちもきっと何かに抑圧されていて、トプシーの1日の他の364日は抑圧されていてそこから生まれた表情なのかなって。これは私の勝手な見解なので、皆さんいろいろ調べてみてもらっていろいろ考えてもらったらいいかと思います。」

 

井上「いいお話でしたね。
いろんな話を興味深く聞かせてもらえますね。」
じゃぁ固い話を私がw」
一同、笑。

井上「ブリューゲルっていう作家なんですけども、現代でいう、オランダに生きた画家さんです。
『子どもの遊戯』っていう絵もかいています。
ここには市民や農民の様子が描かれていて、その当時の服装とか生活とか街の中の様子とかのイメージがノートルダムの世界観とマッチしていて、想像が膨らむ感じがあります。」

 

②動くマネキン、平良くん登場!

井上「このように、中世の時代のいろんな時代背景とかが、この作品の中にはいろんなところに散りばめられているんです。
それを象徴する物の中で、衣装や小道具があるわけなんですけれども、今日は実際に衣装を見ていただいて時代背景を感じてもらえたらなって思っていますので、衣装係の後藤さんに登場いただきます!」
一同、拍手


まず、衣装を釣るポールにかけられたたくさんのグレーローブと、エスメラルダとフィーバスのデスドレス(牢獄のシーン以降に着ている衣装)が出てきて、最後に衣装係の後藤さん登場。

 

井上「時代背景ってことを考えた時の、衣装のコンセプトとか、何を参考にされてるとか、教えていただけますか?」
後藤「舞台となっている15世紀ヨーロッパの服装も参考にされていますが、ディズニーアニメーション映画のイメージも加わって、キャラクターデザインとしてデフォルメされています。
ひとりが衣装を変えるだけでキャラクターを演じ分けたりするので、より分かりやすいデザインになっています。
技術デザイン全体では先ほどのお話にあったようにブリューゲルの絵がオフィシャルイメージになっています。
時代を表す特徴としては、
男性が着ているジャケットであるダブレットと言う名称のもの、
女性の上半身のドレスに表れています。
当時は縫製技術が進んでいなかったので、脇下や肩などの運動量の多い部分は紐で繋がっているデザインが多くなっています。」
井上「てことは、その当時も動きやすかったけど、今も舞台上でも動きやすいということ。」
後藤「そうですね、衣装としては俳優が動きやすいかってことが問題になりがちなんですが、このデザインのおかげで助かっています。」

 

井上「じゃぁせっかくこう、出してもらって、ローブはこれ、全員が着るんですけれども、ローブについては何かありますか?」

後藤「そうですね、これ、実はひとりひとり違う汚しがはいっています。このグラデーションですね。
こちらは、舞台装置の石像たちがいるので、これらと同じように見えるように気を付けながら作っています。」
井上「ペイントとか汚しっていう言葉が出てきたんですけど、ただのグレーのローブだと風景とマッチしないのでわざと色をグラデーションで入れているっていいうことですね。1体1体が風にさらされている感じとか光に当たる感じが違うから、全部違うっていう。
ローブ以外にも汚しとかっていうテクニックが使われているんですよね?
ただの白いシャツだとイメージにそぐわないから…」

後藤「そうですね、市民やジプシーにも汚しが入っているんですが、やり方を変えています。
市民だと、汚れてるわけではなく、日常で来ている使用感、袖口とか襟元とか……」
井上「あぁ、あの、落ちないとこ、ねwww」
一同、笑
後藤「ジプシーは同じものをずっと着ているので、市民よりも手垢とか埃とかで汚れていることを表現しています。」
井上「あぁ、洗濯とかもできないでしょうしね。」

後藤「エスメラルダが牢獄のシーンで来ていデスドレスとフィーバスのシャツでは、地下の牢獄で経年劣化しているじめじめしたイメージで作っています。靴とかも新品に見えないように泥汚れとかをペイントしています。」
井上「土の中で生活しているって感じですね。アスファルトじゃなくて、土の中で暮らしてるっていう。」

後藤「逆に、ペイントがない衣装もあって、フロローとかの衣装なんかは聖職者なのでパリっとしていてキレイなんです。
市民との身分差をつけるために。」
井上「衣装からも時代背景っていうのが見て取れると思いますので、そういったところもお楽しみいただければと思います。貴重な話をありがとうございました。」

 

いよいよ動くマネキン登場

井上「ここで終わるのもあれなので、
ちょっとだけ時間が残ったので、最後のお楽しみとして……

さっき後藤さんが話してくれた、一人の人がいろいろ脱いだり着たりっていうのを実際に見てもらって、それで『衣装から時代背景』っていうのを見てもらえたらと思うんですが、どうでしょうか???」
客席、大喜びで拍手

 

井上「では……動くマネキンを登場お願いします」

一同、拍手
大喜び!!!

井上「平良交一さんです!」
一同、拍手

 

井上「何で本人が自己紹介せずに私が自己紹介してるかといいますと、実はこういう風に、全部装着してフルコスチュームで舞台と同じ状態になっている時には、日常的な受け答えは特別な許可がない限りしてはいけないってことになっているんです。

前回の、1回目のアカデミーではクワイヤがローブ着てたと思いますけど、あれは完全装備ではなかったので、いろいろ受け答えがあったと思うんですけど、今日は残念ながら受け答えできませんので今回は『動くマネキン平良くん』です。」
一同、拍手

 

井上「しゃべっちゃいけないのはディズニーからの強い……」

平良「めいれいだー♪」←M6さんのセリフ(歌)だから、フルコスチュームでも喋れた!(歌えた!)

 

後藤「まず1幕プロローグで登場するデュパン神父。

次にこのローブを脱ぎますと市民の衣装になります。
こちらをベーシックスタイルと呼んでいます。
こちらがダブレットと呼んでいるジャケットです。
汚しが入っているので、全部同じ色ではないですね。

ベーシックの上に、コートと帽子を付けますと、横柄な態度の男に変わります。」
井上「これは舞台上で着替えており、あえてその過程を見せています。舞台上で着替えたりするのは次は私はこの役をやりますよ、ってのを見せていて、それも演出のひとつですね。
会衆から市民になるとか市民からジプシーになるとか。
賀山君なんかは市民ジプシー市民ジプシー市民って実は何役もしてるし、山田さんなんかは市民会衆を経てルイ11世になったり。
荒巻さんは??ちなみに?」
荒巻「クワイヤですwww」
井上「あっ、クワイヤかw」
このやり取り中、平良さんはいろんなものを装着している。大変そう。

後藤「ベーシックの上にタバードと剣帯、鎖帷子のフード、手袋ををつけると兵士になります。
その次……」
せっかく装着したのに、すぐに全部外す平良さん。
がんばる平良さんを見て、みんなあたたかい笑い声

井上「普段はこんなのね、見れないですよね。
あ、怖い奴やつだ、怖いやつ。」
後藤「ベーシックの上に黒いフードをつけると、エスメラルダの処刑シーンに出てくる死刑執行人になります。
ちなみに、このベルトの巻き方なんですが、当時は無駄なものをつけているほど裕福という価値観があって、ベルトも長いほど良いと考えられていたんですね。そのためベルトはわざと余る長さにして巻いてます。」
井上「Twitterにフィーバスのベルトはすごく長いんだって投稿がありましたけども。」
めっちゃうなずく客席。
井上「ちなみに、火刑のシーンの話でいうと、当時火刑ってのはレジャーのひとつで、『処刑あるらしいぜーお弁当持って集まれイエーイ』って感じで、娯楽がなかった時代にイベントのひとつだったみたいです……」

後藤「ダブレットを脱いで、シャツの上にベストと帽子、ネッカチーフをつけるとジプシーになります。
ジプシーのスタイルでは、
男性はこのネッカチーフ、
女性はヒップドレープっていう腰にスカーフみたいなものをまいている時、
ジプシーっていう演出になってます。

最後、グレーローブを着ますと、会衆であり石像でありガーゴイルである、様々な役になりますが、これで、平良さんは計7スタイル、この作品の中で一番多いんです。」
井上「7スタイルで一番多いって言っても7回で終わりってわけじゃなくて石像になったりアレになったりコレになったりってことですよね。
ちなみに何回くらい変わるってのを指で……(←しゃべれないからね)」

平良さん→ もぞもぞ……(わかってない)
井上「とゆーことでしたぁwwwww」
一同、笑、拍手

 

井上「動くマネキン平良くんと後藤さんでした!」
一同、拍手!!!!!

 

井上「めったに衣装の着替えとか見たりすること出来ないので、今日は特別にね。
歴史を振り返ることは出来ましたか?
大丈夫でしたかね??」
客席、大拍手!!!


井上「時間が来ましたのでこのあたりでお開きにしたいかと思います。」

この後、告知がちょっとあって……

井上「ノートルダムアカデミー、閉講です!!!!
チリンチリンチリン♪」

 

 

ということで、井上先生の歴史の授業がとても勉強になるひと時でした。
もうすでに1万文字を超えているので、このへんにしておきます!

今回もお読みいただきありがとうございました✨

 

本日のイベントの出演者(敬称略)
井上隆司  賀山祐介  平木萌子  山田充人  平良交一  衣装係の後藤さん