山に登った時の話②
【山で、足跡をつけるとどうなるか。】
(2013年のfacebookの投稿より)
こないだの燕岳の山小屋のオーナーのお話。【Part 2】
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森林限界の境目に、お気づきになられましたでしょうか。
燕岳では、合戦小屋を過ぎて最初のベンチ、あのあたりが森林限界になります。
縦に伸びる木がなくなり、岩とハイマツの世界に変わります。
山頂付近では、砂地になっていることにお気づきいただいたかと思いますが、
その砂地に生えているのが、高山植物のコマクサです。
山頂に行かれる時に、守っていただきたいのが、
登山道を外れないこと、砂地に足跡を残さないことです。
コマクサの写真を撮りたいと、ロープを張った登山道から一歩、足を踏み出す。
そうすると、足跡が砂地に残ります。
森林限界を超えた高山では、雨は叩きつけるように降り、風は吹きすさびます。
遮るものがありませんからね。
砂地についた足跡に、水が流れ込みます。
そこから、浸食が始まるのです。
山では、一度下に向かって落ちたものは、二度と上には上がりません。
あの砂地が流れてしまったら、コマクサは育たなくなるんです。
皆さんが使っていらっしゃる、ストック。
これも、森林限界を超えたら、使わないでいただきたい。
2400mを超えたら、使わないでいただきたい。
稜線を歩かれるとき、ストックを突かれると、そこが柔らかくなって、そこから崩れていきます。
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自分がつけるたったひとつの足跡に、意識を払ったことなんてありませんでした。
実は、私も、この日の夕方、コマクサを撮るために一歩だけ、
登山道を外れた所に足跡をつけてしまいました。
取り返しのつかない罪悪感でした。
今回も、お読みいただいてありがとうございました✨✨✨