SIL考察:ソネットって何?

【注意】この記事では、劇団四季  恋におちたシェイクスピアのネタバレを含んでいます。


【注意】
この記事は、ソネット(14行詩)についての専門的な解説を行う記事ではありません。
あくまで、劇団四季恋におちたシェイクスピア」の舞台を楽しむための記事です。

 

 

今日のメニュー

  • ソネットって何?
  • ウィルがマーロウに手伝ってもらってヴァイオラに詩を送った時「真ん中あたりがちょっと……」って言う、その真相

 

 


皆さん、劇団四季のプログラムって、どこまで読み込んでいますか?
恥ずかしながら、多くの作品で「写真のページだけ」が多い私です……。

そんな私なんですが、プログラムには有益な情報がいっぱい詰まっているということを、今更ながら発見いたしましたので、ここにご報告いたします。

 

……ということで、ここに至る経緯をお話して、そして今日の本題に行きますね。
(前置きが長いなぁ…)

 

2回目のSIL観劇の時、舞台演劇について大学で専攻していた友達に、この作品の中にはシェイクスピアの他の作品からのオマージュがたくさん散りばめられているのだと教えてもらったんです。
家に帰った私は、まずプログラムを開いてみたんですね。

 

すると、2ページ目に「君を…たとえるなら」の詩が全部載っているではないですか!

 

おおおぅ、っとなってプログラムを隅から隅まで読んでみました。
そこで得た知識はいっぱいあるのですが、今日はそれらを全部語っていると前置きだけで終わってしまうので、今回の本題の部分だけに絞ります。

 

最初に、プログラムに載っている「君を…たとえるなら」の詩を読んだ時、違和感があったんです。


まず、第一声が違う。
「君を夏の日にたとえようか?」
(心の声→)ええええ~。ウィルが最初に言う「君を……たとえるなら!!」じゃないじゃん!あれ好きやのに!
そして、聞き覚えのないフレーズが書いてある。
「時として天の目は…」のところなどですね。
(心の声→)舞台で言ってる詩が載ってるのかと思ったけど、違うんだねぇぇぇ

 

ウィルがマーロウに手伝ってもらいながら、ヴァイオラに捧げるあの詩が好きで、覚えていた私は、どこが違うのかなって書き出して、更にちょっと調べてみたんです。

これが今日の本題です。

 

ソネットとは

さて、プログラム2ページの「君を…たとえるなら」の詩のところに、「ソネット」って言葉が書いてあります。
マーロウの第一声、「ソネットぉぉぉ!!!芝居書いてるんじゃなかったのか??!」の、ソネットですね。
理系ど真ん中を生きてきてしまった私にはソネットってなんじゃ?っていう状態だったので、調べてみました。
…といっても、Wikipediaを読んだ程度ですが。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ソネット

 

ということで、文学ど素人の私が、舞台を観るためだけに理解したソネットとは、

  • 14行の詩である。
  • 韻を踏むルールがある。
  • いくつか形式があるけど「シェイクスピア風の形式」ってものがある。

日本でいうところの、短歌みたいなものですね。いくつかルールがあって、そのルールを守るからこそ光る芸術。

 

もうちょっと詳しく…(でも、舞台に必要なとこだけなので、シェイクスピア風の形式の入門だけ。)
シェイクスピア風のソネットでは、韻の踏み方がABAB CDCD EFEF GGの形になるんだって。
つまり、こういうこと。


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Wikiによると、更に

「三番目の四行連は一般に、予想できない急激なテーマの、あるいは、イマジスティックな「ターン(volta)」を提示する。」

とか書いてあるけど、ここまでは必要ないかなってことで、そういうもんらしいです、と逃げておきますw

 

日本語訳では韻がわからなくなってしまうんですが、原文を見ると確かに上記の形になっています。

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ウィルが「真ん中あたりがちょっと……」って言う、その真相

ソネットについてざっくり知識を入れると、ウィルが言う「真ん中あたりがちょっと……」の意味がわかります!

そもそもさぁ、マーロウに手伝ってもらって作った詩なのにさぁ、ヴァイオラに褒められたら「真ん中あたりがちょっと……」って、おいおいおいおい、謙遜のつもりか??ずうずうしくないか???と思っていたんですがwww

 

さて。
舞台のセリフなので、全部書くと良くなさそうなんだけど……公式のTwitterにもセリフ載ってたからいいかなぁ…
(まずかったら教えてください、削除します。)

 

ウィルとマーロウの合作はこんな感じです。

 

君をたとえるなら 夏の日
だが君はもっと愛らしく もっと穏やか
荒々しい風が揺さぶる
5月の愛らしいつぼみを

夏の命脈は束の間に終わる
だが君の永遠の夏は色褪せず
君に宿る美しさは失われない

それに君が死の影の中を歩んでいると
死神にうそぶかせもしない
時を超えた詩の中に君が生きるなら
人が息をし 目がものを見る限り
この詩は生き続け 君に命を与え続ける

 

これだと、ソネットとして成り立ってないんですね!
さっきの原文と比べると、❌の部分が足りていません。


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だから、ウィルは「真ん中あたりがちょっと……」って言ってるし、それに対してマーロウも異論を唱えない!!!

……人に助けてもらっておきながら、「自分はほんとはもっと出来るんだぜ」みたいにカッコつけてるんかと思ってたぁぁぁぁ……ウィル、ごめんなさい💦💦💦

 

さて、この後この詩はもう一度劇中に出てきます。
ウィルがケント君に託す手紙ですね。
それをヴァイオラが読み上げるシーンがあります。
その手紙の詩は、ソネットとしてちゃんと完成しているんです。

 

で、それが、プログラムの2ページに載っている詩なんですね!!!

 

さぁぁぁ、あの赤いプログラムを開いてみたくなりましたか?
ぜひ、他のページも読んでみて下さい。ウィルとマーロウの関係性なども詳しく解説されていて、おもしろいですよ!

 

 

………では、今日はここまでです。

 

本当に、文学についてど素人の私が書いていますので、専門に勉強された方にとってはお粗末な記事かと思います…💦💦


もしよろしければ、ご指導いただけると幸いです。

 

今回も、お読みいただき、ありがとうございました✨✨✨