HND考察：名古屋を経ての鐘考察【⑦ジェアンにとってフロリカは、自由を教えくれた存在では】

名古屋を経ての鐘考察【⑦ジェアンにとってフロリカは、自由を教えくれた存在では】

【注意】この記事では、劇団四季 ノートルダムの鐘のネタバレを含んでいます。

私、個人の考察です。

偏りや、個人的解釈を多く含んでいます。

ご了承下さい。

記事⑤でも⑥でも、さんざん、クロードが外の世界を見なかった！！って書きまくってきたんですけど、その反対の存在としてジェアンがいるわけです。

まぁ、ジェアンにとってフロリカが最初の女性だったのかはわかりませんが。あの時点での年齢設定もわかんないしねぇ。
でもまぁ、この作品がドキュメンタリーではなく、会衆がカジモドのお話を伝えるための「劇」なんだってこともふまえてフロリカの存在意味を考察するならば、フロリカはジェアンにとって、自由を教えてくれた存在という解釈でいいと思うんですね。

私がここで書いている自由とは、大聖堂に盲目的になっている兄の監視の目からの自由です。
大聖堂の外に広がる、本当の世界。良いことも悪いことも全てが混在している、生きた世界。

記事⑤からの引用ですが、

ジェアンは、兄に守られて自由に育ったから、外にも出て行っていたんだと思います。
自由という言葉は適切じゃないかもしれません。……余計な心配なく、余裕をもって育ったというか。ジェアンの視界に「死」というものが見えないように兄が壁になってくれていたから、死や、社会へ放り出されることの恐怖を感じることなく育ったんじゃないかな。
だから、大聖堂の外にも出て行った。
ジェアンの目にはパリはどう映ったんでしょうか。
自分は大聖堂の庇護を受けていて、食べるものも着るものもあり、寝る場所もある。
しかし、パリに生きていた人たち全てがそうではなかった。
一方では、裕福できらびやかな生活も見たでしょう。そして一方では、貧しい人々の生活も見たでしょう。
街中にはびこる差別も、理不尽も、秩序があるように見せかけて裏ではドロドロに腐った政治も、大聖堂の外に渦巻くいろんなものをジェアンは見ていたと思います。

そういう世界を見て、ジェアンはどう感じていたんでしょう。
今自分が置かれている立場……こんなパリに生きていながらも、自分は大聖堂という庇護の下にいる。あっちで友達が死んでも、自分は生きていられる、でも友達は助けられない。
外の世界を見て、うんざりしていたかもしれません。絶望したかもしれません。その絶望は、外の世界へ向けてなのか、それを救わぬ大聖堂へ向けてなのか。

そんな中で、ジェアンに光を与えたのがフロリカだったのではないかな、と。

そもそも、大聖堂の庇護を受けているジェアンが、簡単に下々の皆さんに受け入れられることはないと思うんですよね。
そりゃまぁ、お金さえ持っていれば、ある程度は受け入れてくれるんでしょうけど、でも仲間にはしてくれなさそう。
そんなジェアンを、外の世界に本当の意味で連れ出してくれたのが、フロリカなのかな、と。
彼女との関係があったからこそ、外の世界でも居場所が出来、受け入れてもらうことが出来たんじゃないかなと。

そして、受け入れてもらうことが出来たからこそ、本当の意味で「生きる」ということに目覚めたのかな、と。

……ジェアンもフロリカも、物語冒頭に怒涛のようにストーリーの骨組みを語っていくThe bells of Notre Dameの中でしか出てこないキャラクターです。（←あ、いや、その、finaleでも出てきますけど、まぁざっくりいうと、ってことで。）
弟、ジプシー女、ってだけでも呼び名は良かったはずなのに、わざわざ名前がついているキャラクターです。そういう意味では、宿屋のマダムや、リッチマンよりも意味を持たされている役なわけですよね。
この作品の軸となる “ 謎 ” のWhat makes a monster, and what makes a man?　を、私たちは、主にカジモドとクロードを通して考えていくわけですが、その過程でクロード、カジモド、エスメラルダ達にはいろんな役割がありますよね。善、悪、自由、束縛、孤独、正義など、いろんな役割を持っていて、それが一種類で固定されずにどんどん変化していくのがこの作品の面白いところなわけですが、ジェアンやフロリカ、そしてデュパン神父にも、その役割が与えられていると思うんです。わざわざ名前がついているキャラクターに与えられる役割。

それぞれの役割への考察のキッカケとして、文章を置いておきます。これはあくまでキッカケで、答えではない……