エビータ感想:【2019.7.31 エビータ 名古屋】マチネ

【注意】この記事では、劇団四季エビータのネタバレを含んでいます。
 

 

 

私、個人の感想です。

偏りや、個人的解釈を多く含んでいます。

ご了承下さい。

 

浅利先生の追悼公園【エビータ】を観劇してきました。
恥ずかしながら、観る前は「エビータ?アイーダ?どっち観るんだっけ?」なんて状態で、予備知識もほぼないまま名古屋に向かいました。

そんな状態なのでレポートは書けませんが、感想を思いつくままに記しておこうと思います。

 

■全体を通しての感想。

「ストーリー以外は、とても良かった!」
役者さんは皆さん凄かったし、
歌は本当に鳥肌ものの曲がズラリだし、
衣装めちゃくちゃカッコいいし!
舞台の使い方も「なるほど〜!」って、その演出に感動したし、
光の表現も美しかったし。

なのにこのモヤモヤ。
ストーリーが……💦
マリーアントワネットや、MIBURO(新撰組)を観た時と同じモヤモヤ。
やろうとした事は正義で、その時代その瞬間に必要なものであったのは間違いない。
なのに、どこからかねじ曲がって、周りは敵だらけ。もう後戻りも出来ず、進むしかない。
正義だったはずが、いつの間にか悪の色味を帯びている。
どこで間違ったんだ……なんとか救う事は出来なかったのか……って、物語を振り返るけれど、どうしようもない。どうしようもなく、「どうしようもない」
救われないストーリー……

何かを「変える」には、犠牲が必要なんでしょうか。
変化を望む民衆は、そのキッカケを作る人(や物、事件)を熱狂的に押し上げておいて、実際に時代が変化し始めると、後ろ指を指し始める。
熱狂って、視界を曇らすんでしょうか。
過度なアドレナリンは、連鎖反応のように周りを巻き込んでうねりとなって、でもそれがひと段落して冷め始めると、嫌悪感を副産物として撒き散らしながら、また新たな不満の火種になるんでしょうか。

JCSでも、そうですよね。
ノートルダムでも、トプシーターヴィーで、群衆は暴徒と化します。

エビータもまた、民衆にとって、必要な変化のキッカケだったと思います。
なのに、このモヤモヤ。
やり方が悪かった、タイミングが悪かった……確かにそうだけど、あの時代には、あれだけのパワーを持たないと時代は動かなかった。

変化って痛みを伴うもんなのかな。
どの時代でも、どの国でも、また、私たちひとりひとりの人生でも、変わらない痛みなのかもしれませんね。

モヤモヤしたけど……でも、観て良かったです。

 

■緞帳があることに「あ、緞帳だ」と、妙に納得。納得?違和感?

とにかく、緞帳があるのが久しぶりでした。
ノートルダムの鐘や、JCSなど、緞帳がない演目を観ることが多かったので…。
緞帳があると、この幕の向こうではどんな空気が流れているのだろうか、って想像をかき立てられます。俳優さんやスタッフさんが準備されているのだろうか、気持ちを集中しておられるのだろうか、って。
はっきりと「客席」「舞台」と隔てられていると、客席は緞帳が上がるその瞬間まで気が緩んでいて、客だけの空間なんですよね。
そこから、緞帳が開いた瞬間に、全部の集中力がドッと発揮される。劇場全体が一斉に観劇モードに入る瞬間、私は好きです。
緞帳がないと、客席は開演前から観劇モードなので、始まりの緊張感の持ち方が違います。
どっちも好きだけど、私は緞帳ナシに慣れちゃいました。だから今日は新鮮な感じがしました。

 

■レクイエム!

いきなりレクイエムの歌詞出て来ておおおおぅってなりました。ラテン語そのままなのね。
めっちゃ聞き覚えあるのはなぜかな?
ソンダン?プロモーションのビデオ?なんでだろう?
最近ちょっとレクイエムの歌詞を勉強しているもので、思わず反応してしまいました。

 

■この演目は初見でしたが、曲は知っているものが多かったですね。

ソンダン(SONG&DANCE)で聴いた曲が多かったので、初見なのに懐かしさを感じていました。
ソンダンの時はどの曲がなんの演目だったのかわからないまま観てたけど、いろんな演目で「あっコレ聴いたことある」ってなります。
ソンダンは本当に贅沢な演目なんだなぁ。

 

■群衆が何かに求心されてひとつになってぐわんぐわんとうねり出す感じ、ジーザスにもノートルダムにも通じるものを感じました。

人間の集団心理って、いつの時代も、どこの国でも同じなんでしょうか。

不満っていう、マイナスの感情は人をひとつにしやすいですよね。
団結のレベルとしては表面上の団結でしかないんだけれど、ものすごく強固な団結を生みます。
ミュージカルでは貧しさへの不満が群衆を束ねる事が多い。そして、貧しさへの不満から生まれるうねりは、泥臭くて埃っぽくて、舞台を茶色と灰色にしてヒロインやヒーローを際立たせるのです……

 

■浅利先生の追悼公演として、ユタと不思議な仲間たち、JCSとエビータを観劇しましたが、JCSとエビータの2つの作品には色んな点で同じ匂いを感じました。

どちらも、崇拝されていたカリスマの栄枯盛衰を扱っていること。
歴史的意味合いを重く含んでいること。
語り部が客席に直接語りかけ、観客自身の思考を促し、意見を持たせる演出があること。
あと、しょうもないことですが、両方舞台が八百屋舞台であったり、照明の工夫で建物や場所が表現されているところなど。

 

俳優さん別の感想

江畑さんの歌唱力と演技力の凄さに、本当に言葉がありません。
エビータの " 一生 " が描かれているので、若い時から全盛期を経て病気になって死ぬまでが全て出てきます。その、変化。変化してるんだけど、絶対にブレない、信念の軸。表情や身体や声の、どれをどれだけ使ってそれを表現されているのか私ごときでは言葉に出来ませんが、纏う空気のブレなささ。
野心と美しさに輝くエビータでした。

 

  • チェ 芝 清道さん

芝さんのお声はドラゴンボイスと表現されると聞きましたが、なるほどこれがドラゴンボイスなのねと、大いに納得するドラゴンボイスでした。
最近JCSを観たからか、芝さんにユダみを感じてしまいました。
語り部的な立ち位置も含めて、ユダに似てるなぁと。
舞台も八百屋舞台だし、他の演者と違う時間軸で、他の演者の間をすり抜けながら歩くとことか、とてもユダみ。
衣装も髪もお髭も、めちゃくちゃ似合っていらっしゃいました!!

 

  • ペロン 北澤裕輔さん

北澤さんと鈴木亮太さんの並びに、変に興奮しちゃいました💦
軍人として出てきた北澤さんの横に新聞記者として立ってる鈴木さん。ラウルラウルやん!ひぃぃ

椅子取りゲームがまさに椅子取りゲームで笑っちゃったんですが、でも、文字通り、椅子取りゲームですよね。
北澤さんの椅子の取り方ねw
北澤さんが勝つのはわかってましたけど、勝ち方まで予想通りで、笑っちゃいました。
座り方!!
あの、すわりかた!!!
オネエなのがもう、ねぇ、ご馳走様でした、はい。

北澤さん観るとヘロデが出て来ちゃう私です💦
普通のお顔なのに、あのギラギラつけまつげが見えてしまうのでした💦

 

  • マガルディ 髙橋基史さん

めっちゃええ声……!!
あの甘い甘い低音ボイスで、今宵は星空ぁぁ〜とか歌われたら、そら落ちますよね。
芝さんにしても、高橋さんにしても、もちろん江畑さんにしても、表現力のチカラをすごく感じた。役者さんってすごいなぁ

 

  • ミストレス 平木萌子さん

ミストレスっていつ出てくるのかしらって思ってたら、一瞬なんですね!
とても美しい歌声でした!
他の出番があったのか私には識別出来なかったんですが💦

 

  • アンサンブル 鈴木涼太さん

アンサンブルさんなんですが、その中で一際目立っていらっしゃった鈴木さん。めちゃくちゃカッコいい!軍服がめちゃくちゃ似合っていらっしゃいました!!

 

 

 

私はエビータはこの1回しかチケットを持っていなかったんですが、初見でも充分にストーリーは分かりましたし、魅力も感じることが出来ました。
でも、だからこそもう一度観たい……ってなります。
いろんな俳優さんで拝見したら、また新しい発見があるのかなって思いました。

 

今回もお読みいただき、ありがとうございました✨

 

本日のキャストさん

エビータ 江畑晶慧
チェ 芝 清道
ペロン 北澤裕輔
マガルディ 髙橋基史
ミストレス 平木萌子

【男性アンサンブル】
成田蔵人   廣 哲臣   石川敦貴   ビョンヒサン    内田 圭   鈴木涼太   髙橋祐樹   伊藤潤一郎   新井 克   伊藤駿佑   河田拓也   髙草木健二   二村誠俊   政所和行   若山展成

【女性アンサンブル】
多田毬奈   中原詩乃    平田愛咲   久居史子   岩井千秋   町島智子   廣本則子   坂本すみれ   北中芹佳   中川奈々美   髙田直美   坂本佳帆    小菅 舞    小林由希子    渡辺詞葉